財産評価基本通達上の土地評価のお話です。

実務上、遭遇することが多い高低差のある宅地を取り上げます。ここでいう高低差とは敷地内高低差(通達20-5 がけ地等を有する宅地の評価)ではなく、接面道路と宅地の地盤面との高低差をいい、ここでは住宅地を前提とした説明となります。

国税庁ウェブサイトのタックスアンサーでは以下、周知しています。

 次のようにその利用価値が付近にある他の宅地の利用状況からみて、著しく低下していると認められるものの価額は、その宅地について利用価値が低下していないものとして評価した場合の価額から、利用価値が低下していると認められる部分の面積に対応する価額に10%を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価することができます。

1 道路より高い位置にある宅地又は低い位置にある宅地で、その付近にある宅地に比べて著しく高低差のあるもの

2 地盤に甚だしい凹凸のある土地

3 振動の甚だしい宅地

4 1から3までの宅地以外の宅地で、騒音、日照阻害(建築基準法第56条の2に定める日照時間を超える時間の日照阻害のあるものとします。)、臭気、忌み等により、その取引金額に影響を受けると認められるもの

 また、宅地比準方式によって評価する農地又は山林について、その農地又は山林を宅地に転用する場合において、造成費用を投下してもなお宅地としての利用価値が付近にある他の宅地の利用状況からみて著しく低下していると認められる部分を有するものについても同様です。

 ただし、路線価又は固定資産税評価額又は倍率が、利用価値の著しく低下している状況を考慮して付されている場合にはしんしゃくしません。

国税庁 タックスアンサー No.4617 利用価値が著しく低下している宅地の評価

宅地の地盤面が全体的に道路面から著しく高い、もしくは低いことで利用価値が劣ると認められる場合、利用価値が劣る範囲(通常、宅地全体となるケースが多い)において10%の減価が適用されます。

ただし、利用価値の低下の程度が路線価に反映済(織り込み済)である場合、当該評価減は適用されません(二重減価となるため)。

著しい高低差による減価が路線価に織り込み済か否かを確認するには、周辺土地の状況等から判断します。例えば、周辺土地は道路と概ね平坦であるのに対し、対象不動産だけ道路と著しい高低差がある場合には、対象不動産の個別性は路線価に反映されておらず、当該評価減の適用対象となると考えられます。

著しい高低差とはどの程度をいうのかは明確に定められていませんが、国税不服審判所の裁決等から1m超の高低差が一つの目安と考えられています。 

ここで注意を要するのが、当該評価減は利用価値の低下が認められる宅地でなければならず、たとえ周辺の土地より1m超高い場合であっても、宅地の一部が道路面と概ね平坦である部分を含む宅地の場合には当該の適用対象とならない場合があることです。

なぜなら、道路面より高い宅地は日照・通風・景観の面でメリットがあり、道路面より高いことが利用価値の低下につながるとは必ずしも言えないからです。

一方、宅地全体が周辺土地より著しく高い場合は、駐車スペースの確保が困難であったり、住宅建築コストが増大するなどにより敬遠されることがあり、市場性の減退の程度が大きいといえます。また逆に、道路面より著しく低い宅地は、日照・通風・景観が劣るため、高い土地と比較して評価減の適用対象はより広がるものと考えられます。

このあたり、当該評価減の適用にあたっては現実の利用状況等を鑑みて説得力のある説明が可能かどうか検討する必要があります。杓子定規に高低差があるから適用できると判断し、否認されることがないよう注意しなければなりません。 

下の写真は当該評価減が適用されると考えられる、周辺土地よりも著しく低い宅地の写真です。なお、路線価が時価の8割水準であることを前提とすると、当該宅地の評価額は時価の72%程度(0.8×0.9=0.72)となりますが、この宅地の評価額が時価の28%減というのが果たして妥当なのか検討の余地があるでしょう。

道路面より1m超低い土地の説明写真