鑑定評価書の利用場面
相続税評価額を参考に(時価ベースに割り戻すなど)売却しようとしたら、「そんな価格ではとても売れない」「その価格は安すぎる」ケースがあります。当該評価額は画一的評価による税務上の時価概念であり、課税において適正な時価を上回るものではないと推認されるにすぎず、必ずしも有効需要に基づく売却可能性が反映されているとは限りません。つまり、適正な時価と大きく乖離することがあります。

相続税評価額と時価の乖離が大きい不動産の一つに賃貸共同住宅を挙げることができます。相続税評価では入居者がいると使用収益が制約されるとして評価額が下がり、空室があると評価額が上がります(賃貸割合の概念)。対して市場の実態は、賃貸共同住宅の主な市場参加者は利回りを重視して物件を購入する投資家であることから、稼働率が高い方が売れやすく価値は上がるものと考えられます。相続税評価では上記のとおり賃貸割合が低い方が評価額が上がるなど、収益性を考慮する仕組みになっていないので、相続税評価額と時価には大きな乖離が生じる傾向にあります。
このように相続税評価額(を参考にした価額)は必ずしも適正な時価ではないので注意が必要です。財産の平等性が重視される遺産分割(現物分割・代償分割)において、適正な時価を反映した鑑定評価書(又は価格調査報告書)は有効です。遺留分侵害のトラブルも防ぐことができます。
同族間取引は、売手または買手のいずれかが利益を過大に享受する恣意性の高い取引となる恐れがあることから、売買価格が適正であるか否かについて課税当局のチェックは厳しくなります。不動産鑑定評価書を用いることで取引価格の透明性が高まり、個人・法人間売買のみなし譲渡(所得税法第59条第1項第2号)などの不動産の税務リスクに対応することが可能です。

法人を活用して不動産投資業を行う場合において個人から法人へ建物を譲渡するケース、 法人オーナー社長が所有している土地を使用貸借している同族会社に譲渡するケースなど、同族間の不動産取引において税務リスクが生じるケースはご相談ください。また、未上場株式評価で不動産評価額のインパクトが大きいケースでも不動産鑑定評価が有効です。
相続税上の不動産の評価額は、財産評価基本通達(以下「評価通達という」)に基づきます。評価通達による画一的評価は、課税事務の迅速な処理が必要な課税庁の事務負担の軽減や納税者間の公平などに資する合理性を有しており、その評価額は適正な時価を上回るものではないと推認されていますので、原則、鑑定評価の出番はありません。しかし、評価通達による評価が合理性を欠く場合には、不動産鑑定評価による評価額が相続税申告において認められる余地があります。

鑑定評価による評価額が認められやすい不動産とは、評価通達では反映しきれない価格形成要因を有する不動産であり、無道路地(接道要件を満たさない土地)、宅地利用が困難な土地(著しい不整形地、帯状地、高低差を有する土地など)、1,000㎡未満の宅地分譲開発に適した土地(潰れ地が生じる場合)などが挙げられます。
このような相続税評価額>時価となる不動産は、適正な時価を査定した鑑定評価書を税務署へ提出することで相続税額が抑えられることがあります。
その他、不動産売買、不動産の財産分与、地代・家賃の改定の参考、借家権(立退料の参考)、収益物件の土地・建物比率の把握など、さまざまな場面で鑑定評価書の活用場面がございます。
報酬額の目安表(税込)
以下の報酬額の目安表に基づき、評価の難易度等を考慮のうえ、見積額をご提示します。
評価見込み額 | 土地のみ | 土地+建物 |
---|---|---|
500万円まで | 177,100円 | 231,000円 |
1,000万円まで | 177,100円 | 259,600円 |
1,500万円まで | 191,400円 | 302,500円 |
2,000万円まで | 199,100円 | 304,700円 |
2,500万円まで | 218,900円 | 331,100円 |
3,000万円まで | 232,100円 | 357,500円 |
4,000万円まで | 251,900円 | 398,200円 |
5,000万円まで | 278,300円 | 437,800円 |
6,000万円まで | 304,700円 | 464,200円 |
8,000万円まで | 344,300円 | 503,800円 |
1億円まで | 386,100円 | 545,600円 |
1.2億円まで | 416,900円 | 576,400円 |
1.5億円まで | 454,300円 | 613,800円 |
1.8億円まで | 493,900円 | 646,800円 |
2.1億円まで | 525,800円 | 667,700円 |
2.4億円まで | 557,700円 | 689,700円 |
2.7億円まで | 589,600円 | 710,600円 |
3億円まで | 620,400円 | 731,500円 |
3億円超 | お問い合わせください | お問い合わせください |
ご依頼の流れ
- お問い合わせ
事前相談は無料です。お気軽にご相談ください。
お問い合わせはお問い合わせフォーム、公式LINEのお好きな方法でご連絡ください。
登記事項証明書、固定資産税の納税通知書、住宅地図をご提示いただけますとスムーズです。
- お見積書のご提示
依頼背景・目的、物件の詳細をお聞かせいただいたうえで、報酬額や納期を提示いたします。
- ご依頼書の交付
弊社にご依頼いただけることになりましたら、ご依頼書を送付いたします。
当該書面ご記名・ご捺印のうえ、弊社へ提出いただくと、正式なご依頼申込みとなります。
- 追加資料のご提供
必要に応じて、追加資料のご提示をお願いします。
- 現地調査等
机上調査、役所調査、現地調査を行います。物件の内覧については、ご同行をお願いする場合がございます。
- 評価作業・中間報告
評価作業に着手してから通常10日~2週間程度で概算の評価額が出ますので、中間報告をいたします。概算の評価額だけでなく評価の概要もお伝えします。
- 鑑定評価書の納品
鑑定評価書の納品の前に、必要に応じて下書き(ドラフト)を提出します。
成果品とともに御請求書を発行いたします。
- アフターフォロー
鑑定評価書の納品後も適用手法等に関する質問など遠慮なくご相談ください。
Q&A
- Q鑑定評価書とはどのようなものですか?
- Q不動産鑑定評価と不動産会社の無料査定の違いは何ですか?
- Q納期はどのくらいかかりますか?
- Q簡易的なものでもいいので、報酬を抑えられませんか?